ニュースレター 2020年 3月
春の養生法
立春が過ぎ、少しづつ暖かくなってきました。
今回は、東洋医学の知識を利用して春の養生法をご紹介します。
春の三月は「発陣」の季節
東洋医学では、春は、自然界のすべてのことは春から始まり、すべてのものが生き生きと栄えてくると考えられています。
立春から立夏に至るまでを春三月と言います。暦の上では、「立春」(2月上旬)から「立夏」(5月上旬)までが春となっています。現在では、3月から5月末頃のことをさします。芽が出て花が咲き、虫たちも活発に活動を始める季節です。この春三月は、発陣(はっちん)と呼ばれています。
発陣の「陣」は、古いものという意味で、発陣は、冬の間に溜まっていたものを身体の外に出し、新しいものを出す季節という意味です。
強い春風が吹きあれ、動植物も目覚め始めるように、私たちも身体的・精神的に目覚め不安定な状態になりやすい時期です。特に、自律神経系の病に注意しましょう。また、近頃は花粉によるアレルギー症状に悩まされる方も多くなっています。去年まで花粉症ではなかった方もストレスや体力の低下などから突然発症することもありますので、身体的疲労はもちろん精神面でもストレスをためないように気をつけましょう。
東洋医学では、春は『肝』の気がたかぶりやすい季節なので、『肝』を補養することが大切と説いています。
東洋医学でいう『肝』の働きは、西洋医学でいう肝臓の働きと全く同じというわけではなく、肝臓の本来の働きである血液の貯蔵、分配、解毒などのほかに、目や筋肉、情緒のコントロール機能などまで広範囲にわたっています。『肝』の気は上昇する性質をもっていますが、春の陽気に刺激されて肝気がのぼり過ぎることがあります。それが、目の充血や頭痛、イライラ、不眠症、情緒不安定、血圧が上がるなどの症状になるのです。また、肝はホルモンバランスと関係が深いので女性の生理不順が起こりやすいのも、この季節です。
そのようなときには、酸味をもつ食物や、春が旬のセロリやせり、あさり、はまぐり、帆立貝など、肝の働きを調節してくれる作用をもつ食物をとるとよいでしょう。
春の過ごし方
この季節は、心や感情をうまく調節するのが大切です。リラックスして、無理せずゆったりと活動的に過ごしましょう!
気候が暖かくなり、すべてのものが活気づいて身体を動かしたくなる季節です。この時期は、夜更かしをしないで、早寝しましょう。そして、朝は少し早く起きて、ゆっくり散歩したり、身体を動かすと良いとされています。また、身体は締め付けないようにし、身体をのびやかにして、気持ちも怒ったりイライラしないようにすることが大切です。
逆に緊張したり、怒ったりイライラしたりすると“肝の気”の巡りが悪くなることにより、内分泌や自律神経が乱れたり、夏に体が冷え性になると言われます。また、活動的にならないのも、同じ結果になると言われます。
東洋医学でいう「肝」ってなに?
東洋医学で言う肝は、肝=肝臓という意味ではありません。
機能でみてみると①疏泄作用(気血の流れをコントロールすることによって、肝臓の作用を促進し、精神のバランスを整えているや②蔵血作用(血の貯蔵と全身の循環している血の量の調節)などの働きがあり、それらのバランスが崩れることにより様々な症状があらわれます。
春にあらわれる症状
①疏泄作用(そせつさよう)
気血の流れをコントロールによって、肝臓の作用の促進し、精神のバランスを整えていると考えられています。
春になっても肝の働きが悪くバランスが崩れているとイライラ、怒りっぽい、めまい、のぼせ、目の充血、視力の減退、生理不順、筋肉が引きつる、頭痛、筋肉痛などの症状が起こります。
②蔵血作用(ぞうけつざよう)などの働きがあります。
血の貯蔵と全身に循環している血の量の調節。
肝に蓄えられた血は、各臓器、筋肉、脳など全身に供給され、スムーズに生理活動が行えるように調整されていますが、それが崩れることによりめまい、手足のしびれ、筋肉の痙攣、生理不順などの症状が起こります。
肝より血を供給され、関節運動を、身体の疲労、爪などの調整をしています。それが崩れると、関節が曲げづらい、しびれ、疲労、痙攣、爪の変形などがあらわれます。
目とも密接につながり、視野も肝の臓血作用と関係があるためバランスが崩れると目の充血、かすみ目、目の乾燥、めまいなどの目の症状があらわれます。
イライラしないでね!!
何事も感謝ですよ。
難あって有難し、有難うございます。 院長