ニュースレター 2020年 2月
東洋医学が教える「心」と「からだ」の関係
現代の研究で裏付けられる先人の知恵
クコの実が入ったお茶
従妹が「最近、ゴジベリーが流行っているのよ!」と聞き慣れない食材名を口にしました。どんな新食材かと思いきや、なんと薬膳では代表的な食材である「クコの実」だったので驚きました。
クコの実といえば、よく杏仁豆腐の上にのっている、あの小さな赤い実です。
その 可愛らしさもあって薬膳ではアイドル的食材ですが、かすみ目など目の不調に良いと言い伝えられてきました。近年、肌の抵抗力を強くし、紫外線対策になることがわかってきたと、先日見たテレビの情報番組でも言っていました。
また麦茶の原料として知られる「ハトムギ」も、生薬名では「ヨクイニン」と呼ばれ、「イボを取る」と言い伝えられてきましたが、こちらも肌の再生を促すことがわかってきたそうです。
長寿時代の「未病対策」として、東洋医学や漢方・薬膳への関心が高まりつつありますが、古くから伝わる先人の知恵の有効性が現代の研究で裏付けられるのは、東洋医学を学ぶ者として興味深くうれしいことです。
感情の動きはほどほどに!
東洋医学が教える「心」と「からだ」の関係
東洋医学では、病気になる前や体調が崩れる前に養生することを基本としています。
食だけではなく、よい睡眠をとってしっかり休養することや、季節の変わり目に特に気をつけることなど、生活全般に気を配ることが大切だと説いています。勉強していて印象深かったのは、体だけではなく、心についても重要視することでした。
体の調子を崩し、病気を発症するまでには様々な要因があります。
東洋医学では「七情」といって、七つの心の動き--「怒」「喜」「思」「悲」「憂」「恐」「驚」が体に大きな影響を与えると教えています。
怒り過ぎたり、考え過ぎたり、悲しみに沈んだり……となると、確かに体に悪そうです。が、喜び過ぎるのもほどほどに、と教えるのが東洋医学の面白いところですね。「喜は気を緩める」といわれ、ほどほどならば良いけれど、緩みっぱなしで緊張感がなくてはバランスが悪くなるということです。
過ぎたるは及ばざるが如し。
中庸を目指すべし!
心も体も常にバランスが取れており、穏やかでいることが望ましいのです。
中でも「恐」は、会社で厳しいノルマに追われながらしょっちゅう上司にどなられていたり、いつクビになるかわからないような状態になったりしていると、すぐに「過ぎて」しまいそうですね。
「恐」という感情は「気が下がる」と言われ、生命力そのものを傷つけると考えられています。
でも、現代人は感情が体にとっても重要だということを忘れて、「頑張らないのは甘えだ」という風潮を作ってしまったようですね。
西洋医学が一般的になる前の日本人は、感情の不調が重大な結果につながることを重視し、心が傷つくことへの恐れをもっと実感していたのではないでしょうか。
最近はうつなどの心の不調が体の不調と結びついていることが科学的にもわかってきて、心身相互の関係がより理解されつつあるのはよいことです。
日本人は休まず頑張ることや、弱音を吐かずに我慢することを美徳とする向きがあります。
でも私は、先端医学の成果を尊重しつつも、古来の知恵に耳を傾けて心も体もしっかりと休ませることがとても大事だと思います。
春から生活が新しい環境に変わって、そろそろ身も心も疲れている、という方も多いのではないでしょうか。
ちょうどそんな頃合いに、梅雨のジメジメした時期が重なってきます。
知らず知らずのうちに疲れが溜まっていないか、ご家族にも自分自身にも聞いてみてください。
院 長