ニュースレター 2019 11月
「脈診」について
よく治療室で、患者さんに「脈で何をみているのですか?」と聞かれます。
今日はそれにお答えするような内容です。
まず、下の図にあるように、親指側から順番に、寸・関・尺という場所がありそこに3本の指(人差し指・中指・薬指)をあてて診ます。図は左手ですが、両手の脈をみます。
寸・関・尺の場所と臓腑は対応していて
右は、寸⇒肺、関⇒脾、尺⇒右腎(もしくは心包)
左は、寸⇒心、関⇒肝、尺⇒左腎
となっていて、どこが弱いかをみています。
非常に主観的な診察法ではありますが、慣れた鍼灸師だと、脈の所見はたいてい一致しますし、長年(2000年近く!)使用されてきた診察法ですので、ある程度の再現性や信頼性もあります。
脈の見方でも、強弱についてお話しします。
強い脈とは、その拍動を力強く感じる脈で
弱い脈とは、拍動が弱々しい脈のことです。
弱い脈は、ちょっと(その脈を触れている)指先を強く押すとベコっと凹む感じがします。
強い脈を実脈(じつみゃく)と言い
弱い脈を虚脈(きょみゃく)と言います。
これは、機能が亢進しているか(実脈)、機能が低下しているか(虚脈)をみています。
例えば右の寸脈が実だと、肺の機能亢進(肺炎など)と判断し、左の関脈が虚だと肝の機能低下(自律神経失調症など)と判断します。
また、全体として診る場合は、病気に対する抵抗力がある(実脈)、抵抗力が落ちている(虚脈)と判断します。
ご自分でも、毎日脈をみていると、体調によってその変化が結構感じられて面白いですよ。そのうちに、あの人は自分に脈があるかなんてこともわかるかも??(冗)
また、脈の打ち方もみていて、浮いているか沈んでいるか、速いか遅いか、強いか弱いか
などもみています。そこから色んなことがわかります。
まずは、一番わかりやすのが、
「浮いているか」「沈んでいるか」です。
気持ちのことではありません。(冗)
浮いている脈とは、指先で軽く触れてすぐ感じられる脈のことで
沈んでいる脈とは、指先を少し押し込まないと感じられない脈のことです。
これは、病気が浅い(浮脈)か深いか(沈脈)をみています。
わかりやすく例えると、
病気が浅い⇒風邪、風邪の引き始め
病気が深い⇒気管支炎、肺炎
深い方が、より慢性で重症と捉えます。
もちろん他の病気でも、病気の位置の浅い、深いをみています。
風邪の引き始めは、結構脈が浮きやすいので、風邪の引き始めにゾクっときたとき等に自分の脈をみてみてくださいね。
これからは、脈の性状について説明します。
(これまでは、脈の浮沈、強弱についての説明)
脈の性状で一番わかりやすのは弦脈(げんみゃくです)
これは文字通り、弦楽器(例えばバイオリン、ギター)などの弦を触れているような感じの脈で、その脈を触れている指先にビンビンきます。
この脈は、緊張している時、ストレスが強い時、痛みが強い時、また高血圧がある人によくみられます。つまり、血管の緊張度が高まっている時の脈ですね。
非常にわかりやすいので一回わかれば簡単ですよ。自分が緊張している時に脈をみてみて下さいね。
脈の種類は28あり、お話している脈は全てそれらの種類の一つです。
今回は緊脈(きんみゃく)の話しです。
緊脈(きんみゃく)というのは、
先ほど説明した弦脈(げんみゃく)よりさらに緊張度の高い脈のことです。
まるで張りつめた琴の弦みたいに。
これは、どういうときにみられるかというと…
特に体の中に冷えが入った場合に多くみられます。
もともとの冷え性というようりは、寒冷刺激による風邪(いまなら冷房病)のように
外から来る冷えが体中に入った場合です。
冷えて風邪をひいた初期(ゾクっときた、怪しいな)というときは、以前に書いたた浮脈(ふみゃく)に緊脈を伴います。
脈の見方シリーズ、今回は滑脈(かつみゃく)についてです。
これは、文字通り滑らかな脈なのですが、
細いチューブ(ゴムチューブや点滴チューブなど)の中を小さなパチンコ玉がコロコロと流れてきて、それをチューブの上から触れている感じ。
チューブを血管と思って下さい。
この脈は、浮腫(むく)んでいる状態など、体に余分な水分が溜まっている時(=水毒や津液停滞といいます)によく見られ、こういうときは五苓散などを用いたりします。
また、食べ過ぎや(食積・痰飲)、妊娠の時にもよくみられます。
この脈がはっきりしていれば、妊娠かどうかある程度のところまではわかる場合もあります。
暑いからといって、冷たいものの、食べ過ぎ、飲み過ぎて余分な水や未消化物を溜めないように注意して下さいね。
今回は、細脈(さいみゃく)についてです。
これまで、脈の性状に関しては、弦脈、緊脈、滑脈について記述してきました。
それぞれの脈状を理解していますか?
今回は、細脈というのは「太い細い」の細いということで
文字通り糸のように細い脈です。簡単ですね
触れると典型的な細さの糸くらいとまではいかなくても、結構細く感じられます。
この脈は、東洋医学的な意味での「血(けつ)」が足りない状態でみられます。
これを「血虚(けっきょ)」と言います。
「脈診シリーズ」もこれで最後となります。
最後の脈は「渋脈(じゅうみゃく)」についてです。
渋い脈?シブい脈? どうゆうこと? と思われるかもしれません。
教科書的には「脈拍が滑らかでなく、小刀で竹を削るように触れる脈」などと書いてあります。非常にわかりづらい…
いつも説明するのは、スタッカートのように「カッ、カッ」と触れる脈です。
リズムは一定ですが、「カッ、カッ」と触れます。滑脈とはまさに対照的です。
(もしこの説明でもわかりづらかったらスミマセン)
この脈は、瘀血(おけつ)の時によくみられます。
毎日、自分の脈を触れているとそのうち少しづつ自分の健康状態とともに脈の状態も変化することがあるのに気づきますよ。健康とは、まず自分の状態を知る事から始まります。
やってみて下さいね!!
院 長