ホットフラッシュのメカニズム
ホットフラッシュのメカニズム
まず、50歳前後になると、誰しも体力の弱りが出てきます。年齢による弱りは陰(陰の気)の弱り。
そもそも、陰は臍下丹田にあって、人体のコアです。引力=求心力を持つ地球のコアと同じもの。
これが求心力となって陽を出し入れします。
その陰が弱る(陰弱)と、陽は陰につなぎとめてもらえず、むなしく浮揚します(陽浮)。内風が先導役となってルートを開き、陽は浮揚し体外に漏れ出します。これがホットフラッシュの発汗です。
浮揚した陽の一部は上昇し、顔のほてりや熱感を生じます。上で滞ると首の凝りを生じます。
発汗が起こると、それでなくても弱っている陰が漏れ出すのですから陰を大きく損ないます。陰と同時に、陽(活動力=気)も漏れて、脱力感が生じます。寝汗の病理と同じく、陰が不足し、陽の過多は相対的。原因は陰の不足なので、いくら汗をかいても陰を消耗するばかり。陽の過多は相対的なので、退けようがなく、かえって気を漏らすというわけです。
陽が陰に勝つ。精神的には興奮状態、肉体的には過亢進。ホットフラッシュはその代表的な表現と言えます。
更年期障害の症状は多岐に渡りますが、基本は陰虚陽亢です。
●動悸…陰虚による血虚、もしくは陽亢による心火。
●頭痛・後頭部の重さ・めまい・耳鳴り…陰虚陽亢。
●疲れやすい…陰虚による正気の不足。
●体重増加…陽亢の背後にある肝鬱による過食。
●やせ…陽亢の背後にある肝鬱が脾に横逆。
●冷え・頻尿…陰虚陽亢による上実下虚。あるいは陰虚にともなう陽虚。
●抜け毛…陰虚による血虚。
ホルモン治療の是非
こういうメカニズムに対して、ホルモン治療はどういう影響を持つのでしょうか。
ホルモンは陰を補うことができますが、自前の陰ではなく、援助された陰です。援助を受けると、ついついそれに甘えてしまうのは不可避。ただでさえ弱っている陰は、その機能を急速に低下させ、自力では回復できなくなります。
まとめ
ホットフラッシュののぼせは、陰(求心力)のよわり。陽が逆上し、顔が火照ったり、首が凝ったりする。
ホットフラッシュの発汗は、陰(求心力)の弱りにより、陽が外に漏れた状態。
陽浮・陰弱の条件を満たし、発汗する。発汗は陰・陽をともに損ない、脱力感を生じる。
治 療
陰虚陽亢の治療を行う。
陰虚(陰の弱り)が中心の場合は、腎兪・大巨・陰谷・照海 などを用います。
陽亢(陽の逆上)が中心の場合は、百会・後渓・内関・行間 などを用います。
陰虚と陽亢は互いに関係しあっていて、人により比重は様々です。それを見極めてサジ加減をおこないます。
こうした治療により、内風を鎮静化しながら、陽亢を静め、陰を養い、生命を安寧に導きます。
院 長